top of page

動物資源化学分野(旧畜産物利用学分野)の歴史

 

【歴代教授】

初代教授  佐々木林治郎 昭和24年(1949)〜昭和31年(1956)

第2代教授 中西武雄   昭和31年(1956)〜昭和50年(1975)

第3代教授 足立達    昭和50年(1975)〜平成元年(1989)

第4代教授 伊藤敞敏   平成元年(1989)〜平成13年(2001)

第5代教授 齋藤忠夫   平成13年(2001)〜平成30年(2018)

第6代教授 北澤春樹   令和元年(2019)〜

 当研究室は、昭和24年(1949)に、東京大学の佐々木林治郎教授が兼担の初代教授として、「畜産利用学講座」を発足させた。助手として小山 進が発令され、中西武雄助教授が東大講師から着任した。小山は昭和25年(1950)に東京大学助手として去り、足立 達および岡田 淳の両助手が発令となった。また、高橋 行および島津宜彦の2名が雇員となった。昭和26年(1951)には岡田助手に代わって鴇田文三郎助手が、また島津雇員に代わって山路厚雄雇員が発令となった。昭和29年(1954)には高橋雇員が辞任し、菅原 弘が雇員となった。中西助教授を中心として牛乳に関する研究が開始され、中西は昭和31年(1956)に第2代の教授に、足立が昭和32年(1957)に助教授に昇任した。足立の昇任の後、中野 覚が助手となったが1年後に辞任し、中江利孝助手が着任した。昭和38年(1963)に鴇田助手が信州大学に転出後、伊藤敞敏が助手に採用された。昭和42年(1967)に中江が岡山大学に転出し、須山享三が助手に採用された。

 昭和50年(1975)3月に中西が定年退官後、同年10月に足立が第3代の教授に昇任し、翌年4月に伊藤助手が助教授に昇任した。その後、伊藤の後任に戸羽隆宏が助手に採用され、須山助手、山路・菅原両技官のスタッフで教育研究が開始された。平成元年(1989)3月に足立が定年退官するまでの間、乳糖関連の化学、乳糖の酵素的分解による生成糖の検索、カゼインの糖鎖構造の解明、牛乳成分法の改善、乳酸菌の生産する多糖成分、卵成分に関する研究、牛肉脂質の加熱変化などに関する研究が主として進められた。この間、昭和63年(1988)4月に学生の臨時増募にもとづき、須山助手が助教授に昇任し、動物生体分子工学が開設された。後任の助手として、北澤春樹が採用となった。

 平成元年(1989)6月に、伊藤助教授が第4代の教授に昇任した。11月には東北福祉大学講師であった齋藤忠夫が助教授として採用された。さらに、平成3(1991)年3月には山路技官が定年退官した。しかし、公務員の定員削減の結果、その後任は採用できなくなり、技官職が1名減少した。翌平成4年(1992)3月には、菅原技官も定年退官となり、その後任に西村順子が採用された。平成6年4月には、戸羽助手が弘前大学助教授として転出し、その後任として川井 泰が助手として採用された。

 この数年間に、研究室の職員には大きな変動があり、人員が大きく入れ替わった。一方、農学部のカリキュラムや組織上の変動もあり、昭和39年(1964)以来、畜産学科の中でコースとして長く存在した「畜産物科学専攻課程」が、平成3年(1991)に廃止され、畜産学科が一つのカリキュラムとなった。さらに、平成4年(1992)4月には、学部の改組に伴い、畜産学科は大きな「生物生産科学科」に組み込まれ、その中で「応用動物科学系」として教育体系を組むことになった。また、講座名も「畜産利用学」から「動物資源化学」と改めた。これにより、動物生産物について、利用学、加工学も含めて化学的、生化学的、生命科学的な方面から幅広い研究を行える方向付けがなされた。乳・肉・卵が主たる研究対象とはなるが、これまでの歴史を踏まえて、とくに「ミルク科学」を主な研究の柱とすることが確認された。伊藤が教授となった平成時代に入ってからは、とくに発酵乳と乳酸菌の機能性に着目して、乳糖分解酵素系の特性、多糖、抗菌物質、オリゴ糖などの代謝産物、免疫力向上作用などに関する研究が主要なものであった。

 平成13(2001)年3月には、伊藤教授が定年退官となり、4月に齋藤助教授が第5代の教授に昇任した。翌年平成14年(2002)4月には、北澤助手が助教授に昇任した。北澤助手の後任は、公務員の定員削減により採用できなくなり、助手職が1名減少した。平成9年(1997)には、大学院の重点化に伴い、教官は学部より大学院に配置換えとなり、大学院農学研究科資源生物科学専攻生物資源科学講座の動物資源化学分野(研究室)に移った。その後、平成15年(2003)年4月からは、さらに大学院の改組に伴い、大学院農学研究科生物産業創成科学専攻食品機能健康科学講座の動物資源化学分野(研究室)に移った。

 齋藤助教授が教授に昇任してからは、さらに発酵乳や乳酸菌を巡る科学の解明を展開し、とくに遺伝子工学的手法を駆使して、食品成分や乳酸菌の機能特性を現象論でなく物質論として捉え、プロバイオティック乳酸菌の生産する抗菌性ペプチド、ラクトース資化系酵素、菌体外多糖や細胞壁やDNAモチーフの免疫賦活化メカニズムなどの分子レベルでの解明を目指している。また、ミルクオリゴ糖の構造解析とその応用、機能性ヨーグルトの作出と提案および食品以外の医薬品研究など、より幅の広い応用研究も同時に展開した。

 その間、川井 泰助教が平成25年(2013)4月に日本大学生物資源科学部准教授(現 教授)に異動し、西村順子技官(平成4年(1992)4月採用)が平成26年(2014)4月に八戸工業大学へ准教授(現 福島大学教授)として着任し、平成27年(2015)4月に、本学応用微生物学分野出身の大坪和香子助教が採用された。平成30年(2018)3月に、齋藤忠夫教授が定年退職となった。  

 

 令和元年(2019)4月には、北澤准教授が第6代教授に昇任し、大坪和香子助教との2名体制となった。令和4年(2022)3月に当研究室で博士号を取得した周冰卉助教が、10月に西山啓太准教授が着任したのち、令和5年(2022)1月に生井楓特任助教が着任した。

 

現在5名の教員による教育研究体制で、従来の動物生産物(乳•肉•卵)の利用性拡大を目的とし、腸管内において宿主免疫や代謝を活性化させる乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスやイムノバイオティクスとして生理機能性に注目し、その機能性成分とその作用機構の解明を通して、新規な高機能性食品や機能性飼料などへの高度有効利用を目指している。

bottom of page