大坪@Wageningenです。
オランダは昨日(9月28日)から冬時間になりました。
夏時間では日本との時差は7時間でしたが、昨日から8時間になりました。
夏時間の一昨日までは、出勤する朝8時くらいは薄暗くてマンション(6階)から日の出が見えるくらいでしたが、今日の8時は太陽が既に高くなっていました。ただ、これも長くは続かず、11月末には真っ暗な中の出勤&帰宅という感じになるようです。
気温も先週からどんどん下がり始め、仙台の11月末くらいの気温です。
こちらの建物は断熱効果が良いので、建物の中に入ってしまえば暖かくて快適です。
私の1日のスケジュールですが、朝、娘と自分の分のお弁当(おにぎりと切った野菜と果物など簡単なもの)を作って、自転車で一緒に小学校に行き、娘を置いてから大学に向かいます。大学に着くと、コーヒーを飲みながらメールチェックをします(Wageningen大学に勤務している人は、各階にある共通スペースのコーヒーマシンのコーヒー、エスプレッソ、カプチーノ、カフェラテなどが飲み放題なのです)。また、事務の方の多くは週3日勤務で昼過ぎには帰ってしまうので、聞きたいことや頼みたいことがあれば、朝一番でお願いしに行きます。日本だと朝から夕方まで事務の方が迅速に対応して下さるので、ついそれが当たり前だと思って甘えてしまうのですが、こちらの事務職員は、依頼可能な業務と勤務時間が明確に定められていて、それを教員側も遵守することを求められ、過剰業務にならないように配慮されていると感じます。ドイツに留学した時も感じましたが、教員と事務職員が同等の権利を持って働くことは、安定した大学運営のために重要なのではないかと思います。
話が逸れましたが、私はこちらでゼブラフィッシュを使って腸内細菌と免疫の研究をしているのですが、午前中のうちに実験室に行って稚魚の世話(飼育水の交換)やサンプリングを行っています。飼育水の交換と言っても、稚魚は2, 3ミリ程度ととても小さいので、6ウェルプレートの各ウェルの飼育水をスポイトで吸い取って、新しい飼育水を注ぐという作業です。共同研究者のSylviaや彼女の学生さんは、この作業を簡単にささっと終わらせるのですが、私は間違って稚魚を吸い取ってしまったりと、1プレートに30分以上かかります(汗)。おそらく稚魚にもストレスがかかっており、私自身が炎症性サイトカインを誘導しているのではと不安なので、作業に慣れてから本格的な実験に入ろうと思っています。オランダでは、孵化6日以降の魚は動物実験の指定対象となるため、特別な申請が必要になります。この申請許可が降りるまでは、しばらくは生後6日の稚魚で実験を進めることになります。先日は稚魚を麻酔で動かなくした状態でアガロースに包理して(これにも大変時間がかかりました)蛍光顕微鏡で観察してみました。微生物以外の生物を顕微鏡で見るのは久しぶりで、骨格の美しさや、血流や心臓の動きに感動してしまいました(写真の解像度が低くてすみません)。何歳になってもこういう感動が味わえるのが、研究者の醍醐味です。
しばらく科研費申請書の執筆で実験をお休みしていましたが、今週からいよいよDNA・RNAを抽出して16S rRNA遺伝子や免疫関連遺伝子の発現を見ていきたいと思います。ちなみに、研究室の設備は動物資源化学分野の方が良いです。50 mLチューブのラックがなくて、持って来ればよかったと後悔・・・。
そう、1日のスケジュールのことを書いていたのでした。
お昼ご飯は共同研究者のSylviaと一緒に共有スペースで食べることが多いです。Sylviaは日本語を勉強しているので、日本語とオランダ語の違いについて話したり、オランダの面白い文化のことを聞いたりします。今日はそろそろ始まる「シンタクラース」というサンタクロースのオランダ版みたいな使者?が来てプレゼントを子どもたちにあげる伝統行事について色々聞きました。親のタスクも色々あるらしいので、今年は私も準備してみようかと思います。
午後は論文や申請書の執筆、そして、私の苦手な免疫学の勉強をしています。こちらの学生さんに教科書を借りて色々教えてもらっているので、本当に教員?と思われていること間違いないのですが、とにかく専門分野ではなかったので、一から勉強するしかありません。有難いのは、あまり日本語と英語で使用する言葉に違いがないことです。今日は朝のセミナーでAPCという言葉が使われていて動物資源化学?と思いましたが、抗原提示細胞(Antigen Presenting Cells)の略でした。微生物学をやっていた時は、プレゼンの際、「略称は必ず冒頭に説明すること!」というルールでしたが、免疫学ではこれをやっているとプレゼンの時間がなくなってしまうので、略称をどんどん覚えていくことが大事ですね。
今朝、細胞生物学・免疫学グループのヘッドのHuub Savelkoul教授から聞いた話ですが、博士論文を書いている学生に、免疫学の研究者なら誰でも知っている(私は知りませんでした、汗)「急性単球性白血病細胞株THP-1」についてTHPが何の略かを聞かれて、調べてみたら、東北大学病院小児科(Tohoku University Hospital Pediatrics)の略だったということです。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1002/ijc.2910260208
http://www.ped.med.tohoku.ac.jp/greeting06.html
東北大学すごいね!とHuub教授から言われましたが、私自身が知らなかったので、少々恥ずかしかったです。調べてみたところ、1980年に東北大学医学部小児科の土屋滋博士(平成22年にご退職)が男児の患者さんから樹立された株だということでした。こういう素晴らしい業績を、東北大学はもっと対外的にアピールしても良いのではないでしょうか?
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